「第26回 四国作業療法学会」におきまして、当院 作業療法士 牛腸 昌利 が下記の要領にて講演を実施させていただきました。
【演題名】脳卒中片麻痺患者に対する随意運動介助型電気刺激の効果
【講 師】リハビリテーション診療科 作業療法士 牛腸 昌利
【協 賛】オージー技研株式会社
【日 時】9月5日(土)12:00~12:50
【会場名】松前総合文化センター(愛媛県伊予郡松前町)
【演題内容】----------------------------------
近年、神経科学やニューロイメージングの知見に基づいた、脳卒中片麻痺患者の上肢機能障害に対する訓練方法の効果が報告されている。上肢機能に焦点を当てたニューロリハビリテーションとして、CI療法(CIMT)やrTMS、ロボット療法(Robotic Assisted Therapy)、HANDS療法などの電気刺激療法が挙げられる。各々の訓練方法で発症後6ヶ月を経過した維持期片麻痺患者において、上肢運動機能や日常生活上での麻痺側上肢の使用頻度の増加が認められている。しかし施設環境等の課題により、広く普及しているとは言い難い現状である。
当院では主に脳卒中片麻痺患者の上肢機能障害に対して、電気刺激療法に分類される随意運動介助型電気刺激(Integrated Volitional Control Electrical Stimulation:以下,IVES)を併用した作業療法を実施している。IVESは村岡ら(村岡,2009)により開発された新しい電気刺激療法である。IVES®(オージー技研社製)はパワーアシストや外部トリガーなど複数のモードで使用可能で、このうちパワーアシストモードでは、標的とした麻痺筋の活動電位信号を検出し、それに比例した電気刺激を神経筋に与えることができる。そのため、対象者の意図した運動をよりスムースにアシストすることが可能であり、作業療法で実施する上肢機能訓練と併用しやすい利点がある。
また、電気刺激は随意運動と連動することで皮質脊髄路を興奮させやすいと考えられるため(Khasiavskaia S et al, 2005)、IVESは電気刺激療法として単体で使用するよりも、上肢機能訓練と併用して実施することが多い。前述のニューロリハビリテーションにおいても、rTMSと集中的作業療法、HANDS(IVESとwrist-hand splint)などの併用療法が提唱されている。
当院でのIVESの使用例として、装具やテーピング療法、課題志向型訓練と併用した方法がある。上肢機能については、上肢のリーチやプレーシングなどの粗大運動、把握やリリース動作、つまみ動作などの日常動作で頻繁に行われるさまざまな腕や手の動きを促通する目的でIVESを使用している。対象は病状や障害の程度により異なるが、急性期から維持期にかけて多くの方に適応であると考えられる。効果判定には、上肢機能としてfugl-meyer assessment,motor activity log日本語版、STEFなどを用いている。臨床での実際については,発表をもって詳述させていただく。
また、脳卒中片麻痺の上肢機能に対する作業療法では、上肢機能訓練のADLへの汎化が課題となることが少なくない。IVESは携帯が可能な機器であり、取り扱いが比較的簡易であるため、リハビリテーションの実施場面だけでなく、対象者が自宅や病棟で生活する場面でも使用しやすい。そのため機器の管理と使用場面を考慮し、適応となる対象者についてはホームエクササイズに導入することが可能である。この点についても,少ない経験ではあるが、適応した事例についてご紹介させていただく予定である。
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主催:公益社団法人 愛媛県作業療法士会
http://www.otehime.org/